過小規模校の学校規模適正化に賛成した本当の理由

当記事は、会派や党の考えとは関係なく個人としての意見を綴っています。

「令和5年11月の吹田市議会定例会において、反対のお声が大きかったにも関わらずなぜ統廃合に賛成したのか?」

結論から言いますと、次の理由があったからです。
一旦出された議案が否決された場合、数年間は同様の議案が出されない仕組みの為、延長する事でいよいよ生徒数が少なすぎると皆が気付いた頃には遅く、統廃合による影響力が更に高まるリスクの方が大きく懸念されたから。


住民目線で捉えた時、確かに教育委員会のプロセスが悪かったという点は否めません。
ですが、教育委員会の進め方のせいだけで将来につけを回し、簡単に反対する事は無責任ではないでしょうか?
当記事で少しでも共感いただけたらなと考えました。

また、学校規模の適正化は、一朝一夕に解決できない大変難しい課題であり、地域状況や実情もそれぞれ異なり、当記事で安易に解決できるような問題ではない事をはじめにご留意の上、ご一読願います。

1. はじめに(吹田市の学校規模適正化の現状)

学校規模適正化の背景には、❝変化❞という恐怖や不安を抱いてしまう当事者の子ども達や、家庭環境や学校環境についての保護者の方々の考えが付き物です。

また、学校という存在が地域コミュニティの中核も担っている為、地域住民から統廃合に賛同を得る事は容易な事ではありません。

第Ⅰ期として、市内にある藤白台小学校の学校区で大規模開発が待ったなしの状況であった為、令和4年に過大規模化を避ける為の校区設定が示されました。
令和5年に第Ⅱ期として山田第五小学校の廃校と同時に山田第三小学校への統合が検討されました。


学校規模適正化(第2期)について(山田第五小学校区)の説明動画より

また、市内の学校規模適正化対象校として、他にも千里第三小学校、千里第二小学校、豊津第一小学校がすでに1000人超えの過大規模校になっているのが現状です。また、これから大規模開発が待ち受けている学区エリアも他人事ではありません。
令和4年度に教育委員会の「一旦白紙になった」という言葉は撤回してほしいですね。
実は令和元年度から進めていた❝5校を同時に適正化する案❞のアンケートに対して白紙にしたという意味だったそうですが、そんなの誤解を招くわ!って話ですよ。
適正化自体が一旦白紙になったのではなく、シンプルに一旦保留になっていただけ。


当記事で取り上げさせて頂く山田第五小学校は小規模校を通り過ぎ、すでに現在が過小規模校となっている中で更に生徒数が激減していく推移になっており、待ったなしの状況と仄聞しています。


山田第五小学校と山田第三小学校を統合させるという計画です。

2校は徒歩400‐450m違いの距離感で、もともと山田第三小学校の分校として山田第五小学校ができた歴史もあります。


ですが、学校規模適正化は行政側が一方的に進めるものではありません。
今回、保護者様より多数の賛否が寄せられました。
住民の皆様方の充分な賛同を得ることなしに令和5年11月議会定例会において山田第五小学校の廃校が可決された事は、反対派の住民の方々からすれば、さぞお怒りと悲しみであった事であろうと今も尚心が痛たまれ、心無いお言葉も親身に受け留める覚悟で、ただただお力になれなかった事を申し訳なく感じている次第です。

ちなみに、反対派のお声が大きかった中で、政治家としての生命を守りたいならば、反対派に回っておくのが賢明でしょう。


「できる事なら反対したかった」
同僚議員からふと漏れたこの言葉に全てが詰まっていると言っても過言ではありません。

考えてもみてください。
行政との癒着?なんの意味があるんですか?
私達議員のお客様は行政じゃないんです、住民の皆さんであり、市民の皆さんなんですよ。
保身をしたいなら、住民の皆さんにとって都合がいいように動く方がいいに決まってます。
敵になるような真似を誰がしたいのでしょうか?という話ですよ。


では、何があってどのような考えに至ったのか?紐解いていきますね。

2. 学校の『適正規模』って?

教育委員会からの説明の中において、学校の『適正規模』は国の基準を理由にしています。

公立小中学校の適正規模は国の基準では12~18学級(各学年2~3クラス)だという説明です。
2015年1月に文部科学省が公表した手引きによれば、「小・中学校では一定の集団規模が確保されていることが望ましく、教育的な観点から学校規模の適正化を考える上で一定の学校規模(12~18学級)を確保することが重要」としています。

ただし手引きには、学校の『適正規模』は地域の実情によって異なり、全国一律に決められるものではない事も綴られています。
「特別の事情があるときはこの限りでない」という柔軟性をもった表現が明記されているのです。

そこで重要なのが、特別な事情とはなんなのか?


「統廃合が嫌なんです!」という人が沢山いる事も特別な事情に入るかもしれませんよね。
ニーズの要素は大きいと思われます。
ですが、❝沢山❞という言葉の表現は、私たちの脳にバイアスをかけてしまうわけです。
実は見えないだけでどちらでもいい派と賛成派が2/3なのに1/3が反対派なのかもしれないですよね?
また、逆のパターンもあり得るという事でしょう?

あくまでも主観的な意見ですが、手引きに記載された特別な事情とは、物理的に学校がかなり遠くなる等の現実的に不可能な要素が強い地域の実情の観点が大きいような気もします。
該当地域の人口推計、生徒数、地理的条件やニーズなど総合的に実現化が難しい場合である事が伺えるのではないでしょうか。

3. 賛成と反対の両方の声を聞いて思ったこと

繰り返しますが、学校規模の適正化は行政側が一方的に決めるものではありません!

そもそも行政が「教育条件の改善」なんていうから、誤解がうまれるんです。
だって生徒数が小規模のメリットだって沢山あるわけで(もちろん大規模にもね)。
今の現状に不満がある方ならいざ知らず、不満がない方からすれば、別に「改善してもらわなくて結構!」って思いますもん。
そんな事より変化することの方が嫌だ!と。
まさに、反対派の皆さんの仰る通りって感じですよ。
だから本来は、地域とともにある学校づくりの視点をふまえ、行政側は統廃合をするかしないか考える時点で、保護者や地域住民との丁寧な議論を積み重ねて決める必要があったんですね。

ですが、少なくとも行政側は生徒数の推計という数字的根拠も持ち合わせて議題にしていたはずなので、議論は発展的でなければなりません。
でないと、嫌な事を後回しにするだけ当該者は回避できても将来的な状況は悪化しますよね?

議案に出される前なら議論をする為の時期の延長が可能だったかもしれませんが、一度議案に出た以上、反対する覚悟ならそれなりの代替え案が必要です。
その為、私自身、代替え案を探る為に動いていた時もありましたが・・・
足掻いたけど力及ばずとはこのことです。結果がすべてですから。
厳しく評価なさってください。

以下、賛否の主なご意見を数点ピックアップしました。

反対派の方々からは、主に「プロセスが早急」「コンセンサスの努力がない」「強引」だから2年後に統合はやめてほしい!という切実なご意見が多かったです。また、小規模校の良さを訴えられる方も多かったです。全体としては、廃校案自体の議論をせずに進めてほしくないという方が多く感じられました。

賛成派の方々からは、主に「子供同士のトラブルに敏感になる」「クラス替えしてほしい」「中学校入学時にギャップが心配」などのご意見がありました。PTAの役が何回も回ってくるというご意見にもなるほどと感じました。

今回の統廃合に関し、どこの部分についてより強く問題視しているのか?
反対派の着眼点は、主に『教育委員会の進め方について』を問題視しており、賛成派の問題とする着眼点は、主に『現状の学校環境の様子について』を問題視していると分析できます。

また、両者から
「統廃合するなら(しないなら)引越しを考えています!」
というご意見も。
どうしたらよいものか・・・

頭を悩ませ続け、白髪が増えましたね。

4. それって本当?「子供の意見を尊重」という言葉

上文の反対のお声まとめで大東市の話がありましたが、統廃合を中止する為に尊い子供の命を巻き込んだ事件が過去にありました。
ですが同時に、統廃合できなかったが故に命を巻き込むケースも考えられる視点もあると、ある人から指摘されました。

そして、教育委員会が「統廃合するかしないかについては、子供の意見を聞く事はしません」「学校の在り方については子供達の声を聞きたい」と頑なに言っていた理由に着目します。
私自身現在子育て中の身ですが、親の価値観や信念、生活環境等が子供の考え方や意見形成に影響を与える事は言うまでもありません。
子供は親の見解に対して同調する傾向があります。
特に、充分に自立していない年齢の子の場合や、親子関係が強い影響を持っている場合はかなり大きい影響があります。

例えば、親が「安物なんて買うものではないよ。」と聞いて育った子供は、❝安物は悪い❞と考えるようになる。
それが、環境ですね。
もちろん子供達は成長するうちに、独自の経験や情報を取り入れることで、親の意見と異なる見解を持つことも!あると言われている程の親の影響力・・・

統廃合について親から反対(賛成)の視点を聞いたら、子供は反対(賛成)の主張をしていると思われます。
子育てされればわかる視点です。

小学生にもなるとしっかりした子はすでに個人としての独自の考えがあるかもしれません。
親の意見と少しギャップを感じた時に、結果的に子供達自身を苦しめる可能性も考えられるから、教育委員会は「統廃合するかしないかについては、子供の意見を聞く事はしません」と言ったと考えれば自然ではないでしょうか?

また、「子供の意見を尊重」という言葉は安易に使ってほしくありません。
子供の人生の節目となる大きな決断をする時に、親がここぞとばかりに「本人の決断を邪魔しないで!」という意味で使っている都合の良い言葉のように思われて仕方ないからです。


子供からすれば、まるで綺麗ごとです。
だってあなたは、子供がゲームをもっとしたい時、お風呂に入るタイミングに子供の意見を尊重していますか?
多くの家庭では、子供の意見を尊重する場合とそうでない場合に分かれていませんか?


私達も子供だったんです。
子供の立場になってみてもう一度考えてみて下さい。
意見を尊重してもらえる時と尊重してもらえない時の境目を見極めるって、なかなか難しいですよ。
子供の意見を尊重すべし!と安易に発言してる人がいるけど・・・

その言葉、嬉しい反面、全部尊重されているわけではないんだから、子供はしんどいしめっちゃ負担じゃないですか?

5. 新しい学校として統合するまでのプロセス

今年度内に、教職員が両校に2名ずつ加配して統合の準備や児童の精神的なケア等にあたられます。


・児童の精神的ケア
・交流事業の準備
・学校備品移転
・書類引継ぎ
・データ引継ぎの準備
・閉校式典
・統合式典の企画
・教育委員会事務局との打合せ会議や日々の調整
などが具体的に考えられております。

また1月下旬から2月上旬ごろ、教育委員会が直接対面の場を設けて来校予定と聞いており、子供達や保護者の皆様から『統合に向けたご意見』を聞かれたいそうです。
子供達や保護者さんと話し合いながら、統合に向けての具体的な進め方を検討するようです。

いただいたご意見から実現に向けて動くこととなれば、議会で追加の補正予算案もあがるというお話もあります。
交流授業については、令和6年1月から3月にかけてその準備や企画を進め、令和6年度の1年間をかけて実施されるビジョンになっているのだとか。
そして交流授業は、運動会や遠足などの学校イベントのみでなく、普通の授業も該当しているのです。

私自身も小学生の子供が2人おり、安心し毎日楽しく学校に通える事が一番だと思っています。
交流授業を重ねる事で、すぐに新しい環境に馴染めない子に合わせた形式にはなると考えます。
それこそご不安点を対面の説明会時にして頂きたいと思います。

統合後はクラスが2クラスになり標準規模校になります。
大規模校に子供を通わせている者からすると、統合後は決して大規模感はないと思われますので「小規模感をなくさないで欲しい」という点はご安心ください。
20年も経てば統合しても小規模校になるらしいですね。

日本の子供達の絶対数的にも今のままではという感じでしょうか。

6. さいごに一言いいます。

繰り返します!
当記事は、あくまでも会派や党の考えとは関係なく個人としての発信です。

結果として、賛成として立ち上がりました。
会派にはルールがあり、会派内でも賛否の過半数がなければ力不足という意味で、賛否どちらかに合わせねばなりません。
掟破りをして全体として効力があれば起立採決で退席することを決行していた可能性がないともいえませんが、たった数人では、議会全体で過半数をとれる効力すらなかった状況でした。

冒頭でお示しした反対の代替え案としては、継続審議という形で一旦は否決し、地元議員らとともに「行政からではなく議員から提案する形ではどうか?」という案も内々であがっておりました。
ですが、会派を超えた市議団が一致しないと進められず議員提案が難しい事もわかった為、それならば最初にお伝えしたような『将来の子ども達の統廃合による影響力が更に高まるリスク』をとる必要がありません。

結果的に、過半数による賛成で可決となりました。

定例会後からずっと思っていた事です。
反対派の方々の思いや運動に対して、

「無駄ではなかった」
と思ってほしい。
そんな気持ちでこの記事を綴っておりました。

私個人が意見交換会と称し不特定多数の人達を集めるまではしておりませんが、お父さまやお母さま、お子さまのお話を聞いて!と言われれば聞いてまいりました。
そんな中で、あなた方は子供達の為に一生懸命に考えられ、行動され、大変子供思いの優しい方々だと感じました。
子供の教育にも大変ご熱心だと、感銘をうけました。

そして、意見をしっかり人に伝えられるお子様を育てられ、かけがえのないご友人たちお仲間も大勢おられます。
共に戦った戦友とも言えるでしょう。
ついつい仲間入りしたいくらい、羨ましいぐらいの結束感でした!!!

だからこそ、あなたの為に、子供達の為にも、結束のひと時を決して悪い記憶として残さないで欲しいのです。

良い思い出に変える事は難しいかもしれませんが、変化の年であって、同志の仲間と共に駆け、結束した年だったという風に。
前向きな気持ちに今すぐなれなくてもいいんですが、親が幸福感をもって過ごされた方が子供達の為にも良い影響力を与えられるのではないかなって思います。

小学生時代なんてまだまだこれからですよ!
逆に統廃合の経験ができるなんてそうそうにあるものではないのです。
そんな私も4年生の時に統廃合がきまり、6年生のみ1年間だけ隣の学校の生徒達と過ごし、新しい校名で卒業している卒業生なのです。
プロフィールにも記載しておりますが、決して可哀想ではありません。
たった1年であったとしても、気の合う友人にも恵まれ、まず視野が広がります。

人生はこれからが長いのです。
気落ちされている方がおられれば、ぜひこの記事を共有くださいませ。

尚、これからどんな教育環境を望むのかなど、頂いているご意見は全て教育委員会にもお伝えさせて頂こうと考えております。
統廃合自体に反対或いは賛成であったとしても、これからどうしていきたいのか?というのはまた別問題だと思います。
もし、私から伝えて欲しい事や伝え漏れなどがありましたら、コメント欄や問い合わせページからお示し頂ければ幸いです。
宜しくお願いいたします。

 

投稿者プロフィール

後藤 久美子
後藤 久美子吹田市議会議員
同志社女子大学学芸学部音楽学科卒業(中高一種教員免許取得・音楽 運転免許あり その他)
社団法人大阪フィルハーモニー協会楽団事務局元職員
結婚を期に関東へ移住しフリーな音楽ライフを満喫しつつ、独学でWebライターや美容と健康のプロ資格も取得。
地元コミュニティーを築く中で市政に興味を抱く。
2023年、統一地方選挙で初当選!再び独学で政治経済を学び『人生は挑戦の連続である』ことを体現する二児の母。

過小規模校の学校規模適正化に賛成した本当の理由” に対して2件のコメントがあります。

  1. 西川 より:

    学校規模適正化問題は当事者の皆さんにとっては大変大きな問題であり微妙な問題ですね。1973年に千里ニユータウンの人口増加に伴い青山台小、古江台小の校区の一部を分離して両校の中間に北千里小学校が建設されました。時を経て少子化、ニュータウンの高齢化に伴い自宅近くの北千里小学校も2004年に廃校が発表されました。
    この際も父兄の方の廃校反対の署名活動が活発にされました。30数年の時を経て2007年に青山台小校区は統合。古江台小校区は2009年に統合。時間差で統廃合を実施。関係者はご苦労されたものと推察します。
    私は同学年2クラス以上必要と思います。一年で入学して六年間クラス替えないよりは、クラス替えで新しい触れ合いが必要です。後藤さんの意見に賛成です。
    この件、私は政治的問題ではないと思います。維新は党議拘束外すべきです。家庭と議員活動両立で活動なさってください。

  2. 後藤 久美子 より:

    西川 様

    大変あたたかいコメントを頂きありがとうございます。
    当記事の主旨としては、「まず、私はなぜ賛成したのか?」率直な疑問に応じる為に作成したものになります。
    該当児童生徒や保護者様の不安感のみならず、当記事ではあまり触れていませんが、中学校の学区変更も伴うこと(10年間は選択制)、又大人の事情としても、土地等の住宅問題の影響も大きいと考えます。
    西川様には、廃校に至った北千里小学校の経緯についても、過去の動きを挙げて頂き大変感謝申し上げます。

    実際に賛否のご意見は確かに存在し、大きなお声と小さなお声がございました。
    同地区にお住まいの方々同士での議論は、近隣同士でなかなか言い出しにくい等の事も発生しておりました。
    議員の立場として、どちらかに傾けば敵味方というのはどうしても発生してしまうものです。
    皆様から多くのご期待とご付託を頂いている以上、どのような言葉を浴びせられたとしても、採決のギリギリまで中立的である必要があると私は考えます。

    ただ、やはり決め手となった強い理由が存在し、自分なりの考えをもって採決に挑むように心がけております。
    今回のように極端な選択に迫られた時の理由は特に、すべて明るみにお伝えできればと考えています。
    今後ともお見守りいただけます事をお願いすると共に、引き続き貴重なご意見やご指摘を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

    皆様にとっても勇気や希望を与えて下さるコメント、本当にありがとうございます。

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