誰でもわかる☆決算前に歳入歳出予算と実績をみる

まもなく吹田市では決算常任委員会がはじまります。
以下、できるだけ多くの方に、どなたにでもわかるよう共有したいと思い、決算についてまとめてみました。

1.自治体の予算と決算って?

決算常任委員会…
なんだか難しそうなにおいがします。
本題に入る前に、まずは(自治体の)予算と決算についてお話しましょう。

予算とは、新しい年度が始まる前に新年度の4月から翌年3月までの1年間のうちでどのくらいの収入があり、どんな行政サービスを行うのかを計画し、費用を予め見積もるものです。
予算書には、新年度1年間のお金の使い道が記されています。
また、市長には予算を執行できる権限があり、市長が作成した予算案に対して私達議員が可否の審議を行い、議会の決定を経て、行政サービスの提供に繋がる流れになるんですね。


市議会は二元代表制(にげんだいひょうせい)です。
市長と市議会議員の両方を市民の皆さんが直接選挙で選ぶ制度によって、お互いに牽制(けんせい)し合う事に意味があります。
独裁政権とならないよう、与党野党に関わらずあくまでも市民側の立場として、議員は市長の予算案に対しできるだけ公平な判断で審議する事が求められています。

均衡的で健全な議会を成り立たせる為には、市長に対して忖度(そんたく)したり、すり寄る姿勢をとる議員に良い仕事はできないです。
❝上手く人付き合いすること❞は大切で、市長と議員の双方で良い方向に進める上でも予算執行の権限がある市長と議員は仲良くした方が上手く事が運ぶとは思います。ただし、持ちつ持たれつの関係性になって議員が市長や市の職員に対し、モノを言いにくくなる土壌が生まれないよう一線を引く気持ちも同時に必要だと思います。対等にモノを言えるよう、しがらみを作らないことが一番!市民代表の立場として、違う方向性であれば違う、おかしい点はおかしいと言えるかどうかは議員の資質として大事だと思います。

また、予算を使っていく上で予算を見積もる時には予測できなかったことが起こり得ます。
予算を変える事が必要になってくる為、変更する予算案を市長が作り、市議会で審議し議決が成立した予算補正予算といいます。

吹田市のように毎回の定例会で補正予算案が挙がってくるのは、なかなか珍しいみたいですよ!

予算や補正予算の決定により行政サービスが行われますが、予算の使い道が正しかったかどうかの振り返りも大切です。
そこで決算を行います。
決算とは、1年間を通し予算の範囲内で行政サービスを行なった結果がどうであったかを見直すものです。

令和5年度決算常任委員会では、令和4年度で可決された吹田市の会計や行政サービス結果について見直す機会になります。

2.一般会計と特別会計と企業会計のはなし

以下、会計の種類について説明します。

一般会計とは、市税や府・国庫支出金などをもとに、教育や福祉、道路や公園の整備など主に市の基本的な行政サービスを行う会計です。

特別会計※1とは、特定の収入をもとに特定の事業を行う会計です。
例えば、国民健康保険特別会計は、国民健康保険税をもとに国民健康保険事業を行う会計の事を指し、介護保険特別会計は、介護保険料をもとに介護保険事業を行う会計を指します。

企業会計は、水道事業や下水道事業のように独立採算制(独自の計画と方針に基づき経営を行うこと)による特定の事業を経理する会計となっています。

吹田市の場合は、一般会計(1つ)と特別会計(8つ※1)と企業会計(2つ:水道事業と下水道事業)を合わせて11もの会計があるんです。  
※1:国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療・公共用先行取得・病院事業債管理・部落有財産・母子父子寡婦福祉資金貸付・勤労者福祉共済

市の行政サービスは広範囲です。
よりわかりやすい会計経理を行う為に、一般会計とは分けて計上されています。
事業目的を特定に行う会計を特別会計といい、独立採算による会計は企業会計として扱っているって事さえ頭に入れておけば◎

ほんと幅広!

3.収入支出・歳入歳出の意味と違い

【収入・支出】と同じような意味合いを表す言葉が【歳入(さいにゅう)・歳出(さいしゅつ)】です。

実際には明確な違いがあり、言葉を使い分けることができるのでご参考までに♪

一般的に収入といえば金銭や物品を他からおさめ入れて自分が所有することを意味し、支出といえば、一定の目的のために金銭や物品を支払うことを意味しますよね。

歳入とは、国や地方公共団体が1年間(=1会計年度)に得た収入を指します。
一方、歳出とは、国や地方公共団体が1年間(=1会計年度)に出した支出を指します。

歳=1ヵ年という意味です。
ちなみに、収入・支出は一般的な言葉ですが、歳入・歳出は国や地方公共団体が主体となる場合以外には使われません。

同じような意味合いではありますが、国や地方公共団体が主体となる場合で、1会計年度内における収入収支を歳入歳出と呼ぶわけですね。
ふむふむ🤔って感じでしょ?

4.吹田市の歳入歳出を可視化してみる!

吹田市の令和4年度一般会計の予算総額は1512億9445万円です。
前年度予算の総額は1407億6073万円なので、105億3372万円増加しています。
※表記が予算額の為、多少決算額との差異がございます

普通の主婦の私からすれば、ひえ~な金額ですが、これはもう目を慣らすしかありません。笑
増加率としては、令和4年度予算/令和3年度予算-1×100=7.5%アップ↑↑しています。

歳入の内訳です。
市税(市民税/固定資産税) 681億3852万円
国・府支出金(特定の事業に対して国や府から支出される負担金や補助金) 431億1714万円
譲与税・交付金(国税から譲与される譲与税/国や府からの各種交付金) 142億2300万円
繰入金(特定の目的のために資金の積み立てを行う各基金などから繰り入れるお金) 104億4628万円
■市債(市が国や銀行などから借りる長期借入金) 70億950万円
■使用料・手数料(施設使用料/住民票の写しの交付手数料) 27億7936万円
■諸収入・その他 39億4025万円
■寄附金 16億4040万円

歳出の内訳です。
民生費(子育て支援や高齢者/障がい者の福祉などの事業にかかる経費) 727億5109万円
土木費(公園や道路の整備/都市計画などの事業にかかる経費) 167億916万円
衛生費(感染症対策や健康づくり/ごみ処理などの事業にかかる経費) 159億3980万円
教育費(小中学校などの学校教育や図書館などの社会教育にかかる経費) 158億5214万円
総務費(窓口業務や庁舎管理/広報などの事業にかかる経費) 148億4752万円
■公債費(市債の返済にかかる経費)・その他 77億3002万円
■消防費(消防や火災予防などの災害対策のための経費) 52億6800万円
■商工費(商工業や観光の振興などの経費) 21億9672万円

吹田市の財政状況を可視化してみました。
そんなもんかな?と思われたでしょうか?
あなたや私の住んでいる市で、何がどれくらい入ってきて何に使われているのか少しでも興味を持って頂けると嬉しいです。

また、前年度(令和3年度)特別会計と令和4年度特別会計のそれぞれの予算額を比較すると・・・

令和4年度特別会計!

全体的には予算増でしょうか。
公共用地先行取得が31.6%、部落有財産が1.4%、母子父子寡婦福祉資金貸付が19.6%予算が減額されています。

ちょっと眠くなることいいます・・・

企業会計の予算では、水道事業の収益的収支として事業収益は84億2374万円で、前年度より2.4%増えています。
事業費用も収益に伴って70億5118万円で前年度より8.3%増えていました。
資本的収支の収入は13億8235万円で前年度より0.2%減り、支出は55億9309万円で前年度より23.2%増えています。

下水道事業の収益的収支として事業収益は95億1426万円で前年度より1.8%減り、事業費用も収益に伴って85億1783万円で前年度より3.1%減っています。
資本的収支の収入は35億746万円で前年度より24.3%増え、支出も67億7463万円で前年度より5.2%増えています。

なんかこんがらがる事いいました💦
収益的収支と資本的収支ってなんぞや?
ってことで、次に解説しています( ..)φ

収益的収支とは、経営に必要とする建物や備品などの資産の修理を行った時にかかった費用 
資本的収支とは、建物や備品などの資産の修理を行う時に、改良を加えてその価値や機能を向上させた時にかかった費用

収益的収支に加え、資本的収支は価値を増加させた分の費用なんですね。
もう一度上の文章を読んで頂くとなんとなく、「へぇ~」って思って頂ければ幸いです。

5.令和4年度に提案された行政プラン

主な取り組みをご紹介いたします。
下記は各常任委員分科会にそれぞれ委ねられています。
私は文教市民常任委員の為、市民部/都市魅力部/学校教育部関連の担当になっております。

私がまだ議員にならせて頂く前に決まった事なので、何となく腫れ物に触る感じがありますが・・・

腫れ物!!!www

昨年秋に完成した「まちなかリビング北千里」の整備費用 11億4233万円
北千里小学校跡地に、児童センター、公民館、図書館が集まる複合施設を建設されました。
「複合施設による子育て・学びの拠点づくり」をコンセプトに、幅広い世代が交流できる施設に。

令和6年春オープン予定の北部消防庁舎等複合施設の整備 12億1042万円
阪急南千里駅前に、北消防署・中消防庁舎、土木庁舎を集約し、災害発生時に市北部の対応拠点となる複合施設を建設。
教育センターなどの教育機能も集約し、施設の効率性を高める。


危機管理センターの設置 1億9514万円
初動対応体制強化のため、本庁舎内に災害対応オペレーションルームと災害対策本部会議室を常設できるスペース、応援部隊活動拠点スペースを設け、災害対応オペレーションシステムを備えたセンターを設置。

広域消防指令情報システムの構築 2651万円
119番の受信など消防の通信指令業務を豊中・池田・箕面・摂津市と共同運用するシステム。北部消防庁舎等複合施設の開設に併せた開始をめざす。


卒煙支援ブースの設置 6221万円
JR吹田駅、岸辺駅に密閉型喫煙所を設置。受動喫煙、ポイ捨て防止につながるほか、ブース内では禁煙促進の啓発動画などを配信し、卒煙を促す。

フレイル予防の推進 254万円
歯科衛生士を配置し、オーラルフレイル予防を目的とした個別相談、健康教育を実施。タブレット端末を用いた認知機能評価も行っている。

健康支援アプリの共同開発・運用 66万円
国立循環器病研究センター、企業との共同研究により、健康寿命の延伸を目的とした市独自アプリを開発。母子手帳機能なども搭載。

国循「かるしお」と連携した食育の実施 331万円
「かるしお」を取り入れた小学校の給食メニューの開発と食育を実施。適切な食塩摂取に取り組み中!


学校教育情報通信ネットワーク再構築業務 10億4280万円
教職員の働き方改革で子供たちと向き合う時間を充実させるため、ネットワーク環境を増強し校務・人事システムの再構築と徴収金システムを導入。

産・学・官連携によるインクルーシブな学校づくり 153万円
東京大学大学院教育学研究科などと連携し、「障害の社会モデル」への理解を深める教職員研修や授業などを実施。

緊急アクションプラン
私立保育所などに感染症対策に係る施設改修費などを補助 6844万円
自動水栓の設置、トイレの乾式化などの経費を補助。

(仮称)山田こども園の整備 1億9099万円
山田保育園と南山田幼稚園を集約した幼保連携型認定こども園を、令和7年4月開園に向け整備。令和4年度は建設予定地の解体工事などを実施します。

緊急アクションプラン
小学生の給食費を無償化、中学生は半額に 10億5463万円
市立中学校は選択制で給食費が半額の170円に。

緊急アクションプラン
市立小中学校が実施する修学旅行などの感染症対策などに係る経費を補助 2億2394万円
修学旅行などを延期・中止した場合のキャンセル料や、バスの増便、宿泊部屋の増室の経費などを補助。

北千里駅前地区等における再開発の検討 3517万円
民間施行の市街地再開発事業の実現に向けて取り組みを推進。

緑化重点地区の再整備 2億8479万円
比較的みどりの少ないJR南吹田駅周辺地区にある6公園を順次再整備。みどり豊かな環境をつくります。

道路などの整備 61億6991万円
山田三ツ辻交差点付近の安全対策
都市計画道路千里丘朝日が丘線の未整備区間(千里丘工区)の整備
佐井寺西地区土地区画整理事業の推進
上の川に遊歩道を整備するための河川暗きょ化工事

官民連携による都市公園の魅力向上 3億9279万円
江坂公園、桃山公園をはじめとした市内公園の魅力の向上を図るため、民間事業者による指定管理などを実施。

公共施設の照明のLED化 3809万円
複数施設の一括LED化に向けた現地調査を実施。

所有者のいない猫対策 90万円
地域猫活動を支援するための避妊・去勢手術費用の補助や物品の提供などを実施。

多彩な文化イベントの開催 154万円
新しく策定した文化政策ビジョンのもと、まちなかでの音楽ライブや子供のためのワークショップなどを実施。文化芸術に触れる機会を増やします。

ガンバ大阪ホームタウン推進 630万円
郵便ポストや路線バスに新エンブレムデザインのラッピングを実施。

外国人総合相談窓口の開設 1122万円
さまざまな困りごとが相談できる、多言語対応のワンストップ窓口を開設。

緊急アクションプラン
中小企業等チャレンジ補助金 1億3810万円
新分野展開や生産性向上などに向けた事業計画策定や設備投資を行う事業者に補助金を支給。

緊急アクションプラン
融資利用事業者応援金 5億3479万円
売上が減少したことにより、セーフティネット保証などの融資を受けた事業者に20万円を支給。

自治体DXの推進 4億5409万円
保育施設利用申し込みなど手続きの電子化、「電子申し込みシステム」へのキャッシュレス決済機能の導入、災害用などの公衆無線Wi-Fiの整備など。

第4次総合計画の中間見直し等 996万円
第4次総合計画の中間見直し、人口推計の見直し、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定などを実施。

新型コロナウイルス感染症が流行していた為、緊急アクションプランが施行されました。
実際に行政サービスが行われた結果、費用対効果が得られたかどうかなど次に向けてしっかりと審議をしたいと思います。

吹田市の皆様から行政サービス面において何かご意見ありましたら、コメントや問い合わせページなどからお気軽にメッセージを頂き、ご意見をそのまま伝えて参りますのでよろしくお願い致します。



投稿者プロフィール

後藤 久美子
後藤 久美子吹田市議会議員
同志社女子大学学芸学部音楽学科卒業(中高一種教員免許取得・音楽 運転免許あり その他)
社団法人大阪フィルハーモニー協会楽団事務局元職員
結婚を期に関東へ移住しフリーな音楽ライフを満喫しつつ、独学でWebライターや美容と健康のプロ資格も取得。
地元コミュニティーを築く中で市政に興味を抱く。
2023年、統一地方選挙で初当選!再び独学で政治経済を学び『人生は挑戦の連続である』ことを体現する二児の母。

誰でもわかる☆決算前に歳入歳出予算と実績をみる” に対して2件のコメントがあります。

  1. 鼻田泰之 より:

    市報すいたに4年度の財務諸表が掲載されていますが、数字の羅列で分かりにくいです。やはり可視化と的確な説明がなければ興味も湧かないです。後藤議員の可視化は理解しやすいです。
    決算を評価するなら100点満点で○点といった表記なら理解しやすいです。AからEで評価するとか、公認会計士の意見とかも記載してもらえればいいと思います。出来ないのであれば自己評価を掲載されたらと思いました。
    これからも頑張ってくださいね!

  2. 後藤 久美子 より:

    鼻田 様
    コメント有難うございます。
    市報すいた10月号には決算書としてなので財務諸表が掲載されているかと思います。
    市報に掲載されていた財務諸表をみますと億単位で四捨五入されており貸借対照表やキャッシュフロー計算書、損益計算書(行政コスト~)の計算面の所々で個人的にかなり違和感があった為、端数は切り捨てにするか数百万単位で四捨五入にする方がよいのではと伝えております。
    「できるだけ見やすくページ数に限りがあるから」らしいのですが、どんぶり勘定に見えるので、鼻田様が仰られるように、合計額のみであれば可視化した方が伝わりやすく、わざわざ数字の羅列でわかりにくくする必要がないですよね。
    決算の評価に関しては問いてみます。

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